◆2000年 4月(NO.54)
 
病児期の登園
 子どもはいろんな病気にかかりながら大きくなります。冬はウィルス性の嘔吐下痢症やインフルエンザ、麻疹。また、ヘルパンギーナや手足口病、プール熱などは夏の代表的な感染症です。これらの感染症はウィルスや細菌が原因しておこります。細菌は1/100o〜1/1000oなのに対し、ウィルスはその1/100oほど。細菌は自己分裂して増殖しますが、ウィルスは人の細胞に寄生して増えるのが特徴です。そのため、人の細胞に影響せずウィルスだけに作用する薬の開発が難しく、特効薬がないのが現状です。感染症は咳やつばき、水疱や排便などからうつるため、病児期は人との接触を避けます。また、回復期は他の病気の感染を受けやすく、自分のためにも用心する必要があります。そのため、保育園や幼稚園はしばらくお休みします。ウィルス感染症はゆっくり休養して回復を待つのが基本(果報は寝て待て)です。下記の表は感染症にかかったときの登園目安ですが、いずれも病気の診断と病状の経過を見た上で、登園の判断が必要になりますので、かかりつけ医の先生にご相談ください。感染症によっては予防接種で免疫をつけることで予防対策が可能です。早期の受診治療を心掛けて病気が長引かないようにご注意ください。
<主な感染症の登園の目安>
インフルエンザ熱が下がった後、2日を経過して元気なとき。
水痘すべての発疹がかさぶたになってから。
流行性耳下腺炎耳下腺の腫れがなくなってから。
麻疹熱が下がった後、3日を経過して元気なとき。
風疹発疹が消えてから。
咽頭結膜熱熱が下がり、咽頭痛、結膜熱がなくなった後、2日を経過してから。
ヘルパンギーナ熱が下がり、食事もできて元気なとき。
溶連菌感染症熱が下がり、抗生物質を1〜2日間服用後。
突発性発疹熱が下がって元気なとき。
手足口病発熱、食欲不振、頭痛、吐き気がないとき。
伝染性紅斑合併症(関節炎、貧血、脳症)がなく元気なとき。
伝染性膿痂疹発疹が乾燥し、ガーゼで覆われている。
 
小児のくすり(吐き気止め)
 3月、インフルエンザが落ち着いてから、ロタウィルスの嘔吐下痢症が出ています。12月はSRSVかアデノか、別の嘔吐下痢でした。症状は最初に吐き、次に下痢を起こしますが下痢の後に吐くときは原因が異なります。吐き気止めには飲み薬と坐薬がありますが、ここで気になるのは効目の時間です。一般に坐薬は効目が早く急ぐときのピンチヒッターですが、この吐き気止めばかりは全く裏切り者で飲み薬が早く効く。飲み薬は胃袋(消化菅)から直接吸収されるので、15分後から効き始め30分後が最高に。坐薬は直腸から吸収され胃まで達するのにロスも多くなり、2時間後にやっと最高になります。だから始めに飲み薬で、だめなときに坐薬を使うよう勧めています。全く飲めない人は初めから坐薬もやむを得ませんが、2〜3時間待って効果の判定をしてください。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です